「メカビ」はステキなインタビュー集
ということでご無沙汰でありますが、色々ありまして。
例えばアニメ会のライブに行ってきました。
お前はホントに地方人なのかっつうくらい最近東京によく出てますが、毎度別な用事が重なってるから行ってるんです。が、この分の金を回せばキミキスと一緒にPS2が、安いテレビつけて余裕で買えるという事実に気付いて、なんだか悲しい気持ちになっています。どうでもいいですね。
それで昨日の「がんばって萌えまっしょい」も「メカビ」も「にじいき」*1もそうなんですが、びっくりするぐらい亀子さんの出番が無いんですよ。一瞬ライブだけのレアキャラって方針で売ってくのかなと思ったんですが、考えてみればそのライブですら別な仕事でいなかったわけですし、大丈夫なのだろうかと完全な外野ながら心配になってしまいました。
まあライブについてはあとでもう少し詳細なレポ書くとして、今回はいよいよ満を持してでた「メカビ」ですよ!
- 作者: 本田透,堀田純司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/02
- メディア: ムック
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買ってねーよっていう人もいらっしゃるでしょうが、これは買っても損はさせない内容だとは思いますよ。今時ちょっと凝った評論系の同人誌で1500円くらいしたりしますし、そう考えると面子で見ても割安かなと。
ただ、これもファントムと同じであんまり出回ってないような…('A`)
かなりでかい本屋いってようやく2,3冊置いてあるの見つけただけですし…あれはただ売れちゃってただけなのかな…
さて、僕もまだ細かいところは読みきれていませんが、この本、とにかく話題の麻生太郎をはじめとした、インタビュー記事がかなり充実してますので、インタビュー集として考えても一読の価値有りです。
噂の麻生外相の記事で言えば、ローゼンのアレについてはもちろん、アメリカの占領政策下における漫画・アニメの効果についてなどは政治家らしいという気がしますし、若いオタク(つっても団塊ジュニアを指していますので、第二世代っていうんですかね。)についてのメッセージというか分析のようなものもありまして、中々興味深いです。簡単にまとめると団塊の世代が情けなかったせいで、団塊ジュニアに英雄待望論つーか強烈な哲学に惹かれるみたいなんができてるんじゃねーの?というかんじでしょうか。
それにしても麻生大臣もジョージ秋山好きなのかな…
他にも色々インタビュー記事はありまして、樋口・養老・Gacktの流れはもちろん、後半部の倉田英之・古橋秀之・bamboo・植芝理一・二瓶勉のクリエイターインタビューも、それぞれの仕事に対する取り組み方についてという話だけでも面白いのですが、何人かが「オタクに限らずいろんなことを経験するといい」みたいなことを言ってたのが印象深いですね。まあ芸の肥やしは多いほうが良いと。
また海外のオタク事情なんかについてを、アメリカのマンガ出版社と欧州のオタクリサーチャーにインタビューした記事「COOL JAPAN にうぬぼれろ」ってのは、オタクコンテンツの海外展開を考えるときには良い資料となるのではないでしょうか。
…日本は、輸出ばかりに力を入れるべきではない。日本のマンガは文化的にも大きな影響力を与えています。その作り方自体とか、クリエイターの心や魂まで影響を与えていますよ。
(中略)
でも日本のマスコミは『ラブひな』が海外で売れたよ、で終わってしまう。
だけど本当に評価すべきことは、『ラブひな』で赤松健の影響を受け、自分もこんな面白い作品を作りたいと思うクリエイターが育ち、彼らが人を感動させるものを作ることです。そして、それが日本まで届いてくるということが一番凄いと思う。
輸出に限るビジョンしか持たない場合は限界がくると思うし、もっと根源的な所で与えている影響を活かして、いろんな国で漫画家を育成した方が絶対良いと思います。
(スチュウアート・リービー 「メカビ」)
なるほど、たしかに海外でもあの作品が見られてるよ!で終わっちゃってたりするのって多いかもなあ…。
それでフランスを拠点にヨーロッパと日本のオタクの架け橋として活躍されている西山健二さんという方のインタビューなんかもありますが、この方はあの「世界コスプレサミット」の企画の担当者だそうで、今も同人作家やコスプレイヤーの海外/日本ツアーなんかを企画しているそうです。
そんなインタビュー系記事で一番の興味深かったのは(福)記者と小原篤記者と渡辺圭記者の鼎談です。まあ厳密には講談社の編集者の方もはいってるのですが。
マスコミのオタクに対する態度についてだとかを、内部の人から意見を聞くというのも中々ないものですから、内部事情みたいなものを聞くのは楽しいし参考になります。オタクは社内にもいるはずなのに中々姿をみせないとか、オタクコンテンツが輸出産業として持ち上げられることもあれば犯罪者の温床みたいに見られて叩かれたりもする姿についてなどなどが語られます。
渡辺 まぁ、場合によりますよね。たとえば社会面に「誘拐犯がゲーム好きだ」「誘拐犯の家に行ったらゲームが出てきた」って書かれると、もうアウトですから。もう終わったー、と思いますよね。
福田 そうだったら、そう報道しなきゃいけないわけですからね。事実があれば。でも、別にねえ、オタクだって、犯罪者もいればそうでない人もいるし。普通の人にだって同様にいるわけだし。だから、オタクが犯罪起こしたからって、オタクがみんな犯罪者ってのは飛躍しすぎてるということですよね。
渡部 ただ、バイアスはかけやすいんですよね。一個理由ができちゃったら、そこでいけるよねってなっちゃうんで。
小原 たとえば一〇代くらいの少年で、ごく普通の生活の流れとして、ゲームに耽溺する確率が高いわけですよ。学校行くのが嫌になって自分の部屋にこもる時間が長くなると、ゲームをたくさんやる。これは当然ありえますよね。そして少し自暴自棄になって何か犯罪を犯した。それもありうるパターンです。すると、当然のようにその記事にはゲームってのが入る。そして「一日何時間もゲームに熱中していた」という紙面になる。嘘じゃない、嘘じゃないけど、それがどこまで犯罪と関係があるんだろうか。いってみればありがちな流れの一〇代の犯罪でも、そこでゲームって書いちゃう。正直、それはどうかなってところがありますよね。
(福田淳、小原篤、渡辺圭 「メカビ」)
長い引用でアレかなと思うのですが…でもこの辺りは結構グッときたので、怒られても載せたい。
でも、やっぱり文化面の記者のこういう思いも、社会面つくってる人たちにはとどかんのかな('A`)
「IT戦士岡田有花が本田透・堀田純司に挑む!」は…うーん、正直、岡田さんが前面に出すぎてて…普通に鼎談っぽい文章のほうが、個人的にはいいなあ。
堀田さんの「男が恥をかくのは、モテたいという邪心があるとき」には納得。それにしても本田さん…
例えば、話して楽しかったり、尊敬できたりする人となら一緒にいられるでしょう。しかし、顔がいいからとカネがあるからとか、そんな理由で、バブリーで遊び好きな男性と一緒にいるのは、苦痛でしかないのではないでしょうか。こういう考え方をもっている女性は決して、私だけではないはずです。
いつまでたってもそう主張を続ける私に、本田さんは言いました。「がっかりですね…何万語語っても無駄だ」。
(岡田有花 「メカビ」)
(´∀`)
まあこの岡田さんという方が進んでヒールを演じただけという可能性もありますが。
そのほかの記事や小説などはまだ読み途中ですが、森永先生の「オタク批判に応える」は「萌え経済学」のあとがきの強化版みたいなかんじですかね。そのほかアニメ会の作品紹介とかもありますし、YU-SHOWさんのギャルゲーレビューとか、いずみのさんの萌え論とか、ヤマカムさんの久米田先生へのラブコールとか着ぐるみ萌えの話など、ネット界隈の大物たちも集結しております。誰かしら名前を知ってる人が一人は出てくるものと思いますよ。
しかし、これもファントムと一緒で定期刊行できないような濃い内容ですねー。でも一応「VoL01」ということで、次回も期待してます。
あ、最後に。
マ やっぱり編集者として新しい才能をお持ちの方に、どんどんご登場いただきたいと想っています。「メカビ」を読んで「俺にも記事を書かせろ!」と思った漢、いや男闘呼は、どんどんご連絡いただきたいです。小説も評論もルポタージュも何でもござれの「メカビ」だからこそ、できることってあるはずだと思いますし。読者の皆様、一緒に誌面を作りませんか!
(松下友一 「メカビ」)
この「男闘呼」っていう当て字が講談社っぽいですね。リップサービスかも知れませんが、最近こういう風に文章書いてネットから商業のベースに乗るラインみたいなんが目にみえて整ってきてますんで、「我こそは」という方は是非。
*1:本のほう