ここ最近読んで面白かった本(活字編その1)

ということで今日は雪さんの誕生日に限らず以前書いた面白本まとめの続きをしようと思うんですが、もう誰が覚えてんだっつう感じですな。えーと以前書いたのが確か10月だから……



…まあちょっと日にちが開いちゃいましたがほんのちょっとです。
今回はここ最近というか2006年後半〜2007年度に読んだ活字本のまとめという感じで、実は結構前に読んだけどブログでは何も言及してなかったものから、今読んでる最中のものも含めてちょこっとずつ感想を述べて行きたいと思います。紹介してる物の中でも後々ちゃんとしたレビューするかもしれません。しないかもしれないけど。なんか色々と前科を見るにものすごく放置しそうですが。
ともあれシャキシャキやって行きたいと思います。


進化心理学入門 (心理学エレメンタルズ)

進化心理学入門 (心理学エレメンタルズ)

まずは進化心理学っちゅう分野の本です。進化心理学はご存知ダーウィン理論と心理学を融合させたものですな。
めっちゃ雑駁に説明させて頂きますと、まず「俺たちの心にはこんな傾向とか現象があるぜ!」つう事実に対し「なぜそうした傾向や現象があるのか?」と考える学問が心理学です。
例えばここでフロイト先生ならリビドー抑圧のトラウマのせいじゃー云々とかいう理屈をこねるわけですね。
で、進化心理学の場合、「その特徴は進化の過程で自然淘汰の結果残された、人類の適応形態のひとつなんじゃねーの?!」という観点から分析し、「狩猟採集生活でのこういう事情に対して、こんなやり方で適応しようとした結果が現代社会でこういう風に発現してるんじゃん?」つう理屈で説明しようとする学問です。その証明する過程の中で、人類学とか考古学とか脳科学とか遺伝子学の資料を用いたりしています。
上の本は進化心理学つう学問について、入門者向けの目立ったトピックについてをまとめたものですが、トピックごとにその要点が最後にまとめられているので、結構サクサク読みやすいし教科書として最適な良書だと思います。個人的には特に性淘汰のお話があれまービックリな感じでした。

ここで問題になるのは、ヒトの心が、200万年前から4万年前の間の進化的適応環境(environment of our evolutionary adaptation:EEA)の中にあった問題によくに対処するために形作られているのか、あるいは、現代の世界においても依然として自分の繁殖性向度を増大させるだけの柔軟性をもっているのか、ということである。
(ジョン・H.カートライト「進化心理学入門」新曜社)

恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1)

恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1)

恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (2)

恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (2)

女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化

女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化

でその性淘汰ってのは何じゃらホイてのが上の本です。
そもそも自然淘汰というものには大きく二つありまして、一つが生存に適応する形での淘汰です。生き残るのに適した性質を備えていた人は生き残って、適応できなかった人は死んじゃった。だから今あるこういう性質っていうのは、こういう状況で生き残るためのもんが遺伝されてるんだよん、というもの。
もう一つが性淘汰。
性淘汰の考え方はだいたい以下のような感じです。
『生き残るだけでガキ作らなきゃ結局その性質は遺伝はされないじゃん!つうことは、ご先祖様方は「生き残るための適応」と同時に、「活きの良い相方を見つけて子どもつくるための適応」を備えていたつうことじゃん!』
ということで、「セックスして子どもをつくり育てるための適応形質」つうのを生み出すのが「性淘汰」なんですな。
上二冊はまだ読み途中で、上巻がそろそろ読み終わりそうな感じで下巻がつまみ食いに読んでるつう感じなんで、あんまり詳細なレビューはできませんが、内容としては「性淘汰とはどういうもので、どういう淘汰圧に対してどういう適応が生じたのか、その影響としてどういうことがおこったのか」をまとめたもので、面白いですね。
三冊目の本はもうちょっとフランクな内容で、現代社会に見られる男女の性行動について、性淘汰の観点から分析していったものです。なぜそもそも人は結婚して離婚するのか、なぜ男は若く美しい娘を好んで、女は社会的地位の高い財力ある男を求めるのか、とかそういうことを分析しています。フランクっても扱ってる内容がフランクなだけで、文章はちゃんとしたものなんですよ。
脚注とか参考引用文献一覧をなんでつけねーんだよという不満はあるものの、面白いし読み応えあるんで概ね満足な内容です。なんですが、書かれてることが「女はとどのつまり男の財布が目当てなんよ」みたいな喪板の書き込みと大差ないってのは凄いっつうか、そんなこと学問で証明しちゃうのかよ!という感じです。これはその内ちゃんと内容を紹介したいですね。

……しかし、われわれ人間は自然淘汰によって形成された存在であり、善意と結婚生活の幸福に安住するようには出来ていないのだ。われわれは、自分自身が生き残り、遺伝子を子孫に伝えるという目的に合わせて作られている。この無慈悲な基準が生み出した心理メカニズムは、ときとして利己的になる。
(デヴィット・M・バス「女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化―」草思社

と、ここまで書いてたらこんな時間になってしまった。なんということでしょう。
筆が遅いのか俺。単に集中力なくてすぐ引用してる本読みふけったり他のことやってるせいでしょう僕。
そんなわけでまだまだ紹介したい本はあるんですが眠いんで今日は寝ます。続きは明日!以降。