モテモテばいきんまん

それいけ!アンパンマン くろゆき姫とモテモテばいきんまん [DVD]

それいけ!アンパンマン くろゆき姫とモテモテばいきんまん [DVD]

いつもドキンちゃんに振り回されているばいきんまんの前に、黒い服を身につけたかわいい女の子が現われた。彼女は雲の中のくろゆき城に住むくろゆき姫。"黒"が大好きで、ばいきんまんの事も好きになってしまう。
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/mo3558.htmlより)


……('A`)


ばいきんまん」と「モテモテ」は字義的に矛盾しているというか、「殺し屋1」と「癒し系」くらい似合わない言葉だと思います。ばいきんまんと言えば、幼児達が最も慣れ親しんでいるであろうキ喪メンです。人々から常にキモがられ、心を寄せるツンデレ少女のドキンちゃんはイケメンにうつつをぬかし、キモメンのばいきんまんを足蹴にして「デレ」を見せてくれない始末…
でもばいきんまんは良いんだ。ドMだから。
っていうセメントの喪男なのが、「アンパンマン」でのばいきんまんの正しいポジションなわけじゃないですか。それがモテモテなんておかしいですよ!
ちきしょうフレーベル館め!何も知らぬいたいけなガキンチョに「モテ非モテ問題」を突きつけるとは、なんて酷いことをするんだ!
と思ったのですが、実際見てみると喪男のススメ」とでも言うべき内容で、僕は大変面白かったのですが、あくまで幼稚園児くらいの子どもが基本的な対象であることを考えると、やなせたかし大丈夫かという気になりました。

ではストーリーを見てきましょう。モチロン色眼鏡かかりまくりの脚色しまくりなので、正しい内容が知りたい人はDVD買ってください。


ある日のこと、いつも通りドキンちゃんに「キモイんだよこの無職童貞!ゴロゴロしてないでさっさとハロワに行って来い!」と言われたばいきんまん
突如目の前に現れた「苦喪の巣城」に入ると、そこには城の主人であるくろゆき姫がおりました。
くろゆき姫は「キモイものこそが美しいと感じられる。だから大好き」という、かなり変わった美的感覚を所有する御方でしたので、ばいきんまんを一目見て「見れば見るほどハンサムな人!ステキー!(〃▽〃)」と言います。
すわ美人局か、と思ったばいきんまんでしたが、「大スキ! 」と広末涼子の歌でしか聞いたことのない単語を直接聞かされて、思わず「部屋へ遊びにきなよ!」と、「オタルームを見たヒロインがドン引きして試合終了」という、キモオタ映画で喪男が自滅する黄金パターンをご多聞に漏れず行います。
しかしそこはフレーベル館。そんな安直な喪展開になるはずがありません。
そもそも、ドキンちゃんと一緒にくらしているばいきんまんの部屋はかなり清潔*1で、蝕パンマングッズで埋め尽くされて白とピンクな色彩です。
これなら引かれないだろうとでも思ってたのでしょうか、しかしくろゆき姫はガチでキモオタ萌えという凄まじい性癖をもっていたので、ドキンちゃんが「セブンティーン」とか「VOGUE」とかを読んでモテ武装した部屋をみるなり
「こんなモテ趣味の部屋は最悪!ピンクだの白だの、マジキモっ!ゲロゲロ(;´Д`)」
と言って、あっという間に自分好みのオタルームに劇的ビフォーアフター
ドキンちゃんも「このオタ女!何すんのよ!」と応戦しますが、上下「ファッションセンターしまむら」のジャージという喪女ルックにされたうえに放逐されてしまいました。とは言えど腐ってもサドロリ系ツンデレドキンちゃんも「I'll be back」と呟きながら去ります。
そして二人はくろゆき姫の「なんでもキモくできる術」をつかって世界を喪の炎で包もうと「苦喪の巣城」で出立します。手始めに近場の町を襲って町をどんどんキモくしていきます。途中アンパンマンとかもでてくるのですが、いてもいなくても話しの内容的に全く差し障りがないのが凄いですね。
そこでドキンちゃんがリベンジに戻ってきてからが本番です。
「あたしとこの女のどっちを取るの!」と二人から詰め寄られたばいきんまんは、ホワイトアルバム的な修羅場が繰り広げられる中、「生まれて初めてモテた」と感動しっぱなしで、アンパンマンたちに「脱オタしなくてもモテたよ!」と自慢します。
そこにイケメン食パンマン様登場。ばいきんまんごときキモメンがモテモテというありえない光景を目にして、思わずアンパンマンに「どうなってんの!?」と聞くも「僕にもなにがなにやら」と返されます。やはり、キモメンがモテるというのは、彼らにとっては弥勒菩薩の光臨よりもありえない話しのようです。
そしてドキンちゃんとくろゆき姫のキャットファイトの末、ついに「苦喪の巣城」が崩壊します。
崩れ落ちる城のなか、ばいきんまんは必死で二人を助けましたが、城は運悪く青土社の社屋に墜落。くろゆき姫は魔法使いにかけられていた呪いがとけて「こなゆき姫」の姿へと変わりました。どうもキモイものが美しくみえるという、シェイクスピアがかけたような呪いがかけられていたようです。そのせいでキモメン喪オタクのばいきんまんが格好良く見えていたのです。
呪いが解けて元のモテ趣味に戻ったこなゆき姫。彼女は元々美男美女の集う「モテの国」の王女でした。
助けてくれたばいきんまんにお礼として「お婿さんに来てもらう」というのがセオリーだとわかっていますが、美意識を狂わす呪いが解けて冷静になってみるとキモオタとはマジ無理と思った姫様、「イケメンにしてあげるから私の国へ来て」と言います。
高須クリニックでイケメンになって脱オタしてモテるか、あるいはドMのキモオタのまま一生を終えるか」という究極の選択に期せずして直面することになったばいきんまんは、逡巡の果てにこう言います。

「俺様は悪役だから行くわけにはいかないのだ…!気持ちだけ…気持ちだけ、受け取っておくのだ…ははは、ハヒフヘホ〜…」
ばいきんまんそれいけ!アンパンマン くろゆき姫とモテモテばいきんまん」)

泣いた('A`)


ということで「一見キモオタを好いてくれるような三次元女がいても、惨事の女は皆イケメン好きなのには変わりないんだから、キモメンが調子に乗って妙なことを考えちゃいけないよ」というやなせたかし先生からの心温まるメッセージでありました。
いやまあ、やなせ先生が考えたストーリーでは多分ないのですが…


それはそうと、最近はてなで話題という「文化系女子」とかってようするにこういうことなんでしょうか。
「一見非モテを好いてくれるような文化系女子を妄想しても、三次元女は皆イケメン好きなのには変わりないんだから、非モテが調子に乗って妙なことを考えちゃいけないよ」
みたいな。
スイマセンよくわかんないのに適当に言ってみました。
全然ちがったらごめんなさい。('A`)

*1:苦手なハズなのになあ。あ、ドキンちゃんにやられるから良いんだね