喪男の罪

みんな、みんな、なぜこんなにも苦悩しているのだろう!
あわれで、あわれで、いたいたしい!
わたしになにができるというのだろう!
わたしをかいかぶらないでくれ!
わたしをしたってきても わたしには、なにもない!
わたしは、人を導ける人間なんかじゃない!
主体性のない いいかげんな人間なのだ!
わたしはずるがしこく、うそつきで、女たらしで、女々しく、
弱いものをいじめて権力者にへつらう、いやらしい人間なのだ!
わたしはだめだ だめだ。 だめな男なのだ!
いままでにどれだけひとをキズつけてきたかわからない!
ゆるしてくれ!
ゆるしてくれ!
ジョージ秋山「告白」)

ジョージ秋山先生の漫画は良いなあ…何時読んでもダウナーな気分にさせてくれる…
それはそうと、「喪男は、真実の愛がねーぞ、とかひたすら他人に求めるくせに、自分は他人を愛さないよな」という意見をそこここで見かけるのですが、まったくその通りで、だけど、これこそが喪の根底にある罪悪感の正体ではないかなと思うのです。少なくとも、僕はそこの葛藤があるものにこそ心動かされるというか…


喪男の罪悪感て、んなもんあるんかい?という話なのですが、まあ罪悪感ってより単純にネガ思考なだけかも知んないですし、喪男全体にいえる事柄では無くて単に自分だけの話かも知れないのですが…少なくとも、自分が共感できるような喪文章の根底に共通して存在するのは、この「喪な罪悪感」なんですね。
例えば僕も過去のエントリで「電波男の文脈を読み込むと、真実の愛とは、他人を赦すことですよ」とか「真実の愛は、ありとあらゆるものに還元されえないものですよ」とかなんとか言ってきたわけなんですが、「じゃあ、あんたはそんな風に他人を愛せるのか」という話になれば、そりゃ無理です。出来ません。
真実の愛なんて、与えることが出来るなら、喪男やってないわけです。
見返りなしの愛情を単独で行使できれば、今頃マザー・テレサみたいな立派な人間になってるはずです。
他人や社会の悪を嘆いてはおりますが、実際一番どうしようも無いのは、他人を憎んでばかりで結局他人を愛せない自分なわけです。そこに対して抱く、劣等感や自己嫌悪感をさして「喪な罪悪感」といってるわけです。罪悪感てのは言いすぎじゃないかとも思いますが、でもそうとしかいえません。
とにかく、「世の中愛がねえなあ、どうしようもねえなあ。でも俺が一番どうしようもねえなあ、愛もねえなあ」とか言ってるっていうのが、喪男とか、非モテとかの言葉の醍醐味なんじゃないのですか。その葛藤が良いから、みんなネットでこのへんの話題に注目してるわけじゃないですか。それが無ければ、ただの戯言ではありませんか。違うのですか。
最強伝説黒沢」もそうじゃないですか。黒沢さんが戦うときっていうのは、「確かにクズだけど、だからって弱いものいじめするんじゃねーよ」っていう怒りを感じたときだけじゃないですか。確かに自分がクズだって自覚があるけど、それでも許せないものがあるから戦って叫ぶっていうところに共感したんじゃないですか。
喪男たちの怨念渦巻く言葉の数々が収められた「夏の葬列」は多くの人々に見られているわけですが、そもそもブログタイトルの元ネタであろう「夏の葬列」というお話は、女の子を救えなかった、いやむしろ自分せいで女の子は死んでしまったのだ、という罪悪感を抱える男の物語ではないですか。
しろはたにしてもそうではないですか。例えば…みなさん「Thursday's Child」は読まれましたか?いやまあ長いし多分いちいち読まないんじゃないかとは思うのですが。興味をもたれたら、しろはたのサイトの脇のとこから読めますのでどうぞ。あれも「怒り」と「罪悪感」と「愛情」が主題の作品です。正直言ってアストロ乙女塾やなんかはしろはた的ギャグが多めの作品なんで、そのへんが薄れてますが、僕としてはもうちょっとこういう欝な作品をファントムで…
話がそれましたね。
「ファントム」に乗ってるキモイ系と銘うたれた小説もそうではないですか。そこの葛藤が小説のテーマになってるわけで、掲載されている小説の多くは、根底に「どうしようもない俺」の存在があります。*1単純に「外見がキモイだけで心は超美しい俺」を書いてる作品は無いですよ。蓮海もぐら先生の書く文章が面白いのも、「醜い現実」と同じくらい「見た目も内面も醜い俺」を描いているからではないですか。客観的にみてるとどうしてもその「醜い俺」がコミカルになってしまうのですが。
だから、「愛の無い世界を糾弾する俺こそが愛の無い悪人だ、俺が一番救いようのない人間なんだ…でも、それでも言わずにはいられない」という、この葛藤と、そこを突き抜けて発される言葉こそが、価値があるものだと僕は思うのです。
僕は喪板とかの書き込みの裏にそういうものを勝手に読み込んでいますが、もちろんなかにはそういう罪悪感抜きに他人を呪ってるだけのものもあるかも知れませんが、少なくとも僕はそれに対してなにも共感できません。
多分、id:subscriber先生が言ってた以下のことも、そこに繋がることじゃないかなと思うのですが。

オタク以外の人は気づきにくいかもしれないが、電波男はまったく自己肯定できていない。というか、数多くの自己否定の中から「純愛」という部分だけを取り出し、そこだけは自己肯定しようという内容である。生きているだけで誰かを無意識に傷つけてしまう、危うい自分。そういう全般的な自己否定がまず背景にあるのだ。オタクに批判が届かないのは、すでにオタク自身が自己批判しつづけ、それでもどうにもならないことに気がついているからだ。
http://d.hatena.ne.jp/subscriber/20050416#p1

前提:オタクは日常的に自己批判、自己否定を繰り返している。
http://d.hatena.ne.jp/subscriber/20050418#p1

逆に、そこが無ければつまんないんだな。とは言えど、そればっかりでも邪魔臭いだけですから、ようは、バランスが大事ですよね。
今回の文章は何言ってるかわからなさが普段よりも多めかと思いますが、どうせチラシの裏です。読み捨ててください。

罪の意識で喪男なのかい?
萌えろ萌えろ、オタになってGO!GOGO!
イージー・カム
イージー・ゴー
ボーン・トゥ・ビー・喪ンキー
ラノベでもアニメでもダメならエロゲー
三次元を捨てた喪男の罪
オタクになるから許してチョ
哀しみを忘れようぜ
オタクなるのさ
おりゃ知らねえ
解らねーぜオタだからな
三次元を捨てた喪男の罪
オタクなら知らねえ
これこそKi Mo I
オタクなら哀しくても
萌えキャラしかいらねえ
エビ・バデ・カモン
レッツ・エロゲー
ゴー・ゴー・喪ンキー・ナイト

(筋肉少女帯「俺の罪」を改変「喪れの罪」)

俺は一生童貞だし、この国がどーなろうがしったこっちゃないよ。
愛国心?ばっかじゃね〜の?むしろ俺は日本という国に恨みを
持ってるね。みんな好き勝手やってるのに、俺は悲惨な人生だ。
どんどん壊れていったらいいよ。しるもんか。
おまえらが俺のことなんてしらないようにね。
所詮日本は利権構造だ。コネさえあればたいして努力しないで
大金が稼げる。公務員夫婦の世帯年収は40歳平均で2000万円。
マスコミ・銀行・その他、利権構造下にあるものは全部そう。
こいつら普通に50代で2〜3000万稼いどる。大して仕事してないし。
親族経営会社で利益を親族に手当てして税金払ってない所も山ほど。
そんななかで手取り2〜30万、年収で3〜400万円程度で
この利権構造体を存続させるために働け、ってか?
利権構造下にないのに労働してる奴らって、馬鹿だろ。おまえ。
おまえよりも馬鹿でロクデナシがロクに働きもせずに
大金を稼ぎ、良い女(男)を抱いてるんだぜ。
馬鹿らしさに気づいた奴らは働かねーよ。俺とかな。
財産食いつぶして、金が無くなれば自殺するさね。
どうせ俺はキモくて生命としても次世代を遺せないわけだし、
この社会体がどーなろうが知ったこっちゃねーよ。
あぁわかってるよ。俺が一番馬鹿だってことぐらい。
俺は生まれてはいけなかったんだよ。さぁ俺を殺せ。日本。
2chのコピペ)

ジョージ秋山先生のマンガとオリの小説にはしょっちゅう片目が潰れている主人公が出てきますが、やっぱり、これは、自分で自分を責める罪悪感の表れなのだ…ヽ(;´Д`)ノ   突然ですが私も同じことをやったことがあります! いや石じゃないけど…そのことは「電波少女」にも書きましたが、あれはわたし自身の話なのだ! この罪悪感が消えない限り、オリは誰も愛せないし誰にも愛される資格が無いのです!ヽ(;´Д`)ノ  しかもジョージ先生と違ってキモメンなので、仮に立ち直ってもモテネーのですド━(゚Д゚)━ ン !!! 
ああ、生きてる限り、この地獄は続くっ……ヽ(;´Д`)ノ
しろはた「萌える大甲子園」6/5)

仕事とはなんだ!
金、権力、自由! そんなものはいらん!
なにもいらん! なにもいらん!
愛がほしい!
愛したい!
なぜ!
なぜわたしはひとを愛せない!
ジョージ秋山「告白」)

*1:いやまあそうじゃないのもありますが。ファントムについては後日ちゃんとしたレビューを書きます。