オタク女子研究の感想と、これ以降の腐女子本の傾向と対策

感想

ということでようやっと読みましたよ腐女子本。

オタク女子研究 腐女子思想大系

オタク女子研究 腐女子思想大系

なんというか、分かりにくい本だった…というか未だによく分からん本だなあと。
平易な言葉で書いてある本ですし、内容自体に高度なものがあるわけでもない本なんですわ。でも構成が悪いのかなんなのか、読み終わった後で、作者が一番言いたかった事がなんなのか、よくわからないですね。いや、僕の読解力が悪いせいかも知れませんが。('A`)
非モテ的性質を持つ人間がやおい好きの腐女子になって、やおいには鬼畜成分を昇華するという機能がありますよってあたりが主張の骨子ってことでいいのかな?それでも電波男の焼き直しにしかみえませんが…
ううん、なんだかなあ。
まあ、大体事前に言われてた通りの内容ではありましたね。
「負け犬本の腐女子版」というのも、自虐に見せかけて他所をけなすことで腐女子(というか著者本人近辺)を良く見せようとしてるもんだからだなと。たとえば文化系女子を羨ましいとか言っておきながら、文章の裏にはモテに靡いてるチャラチャラした連中ねーみたいなメッセージが隠されている(ように少なくとも自分には読めた)からでしょうね。
さらにはその「腐女子」ってのを、自分はちょっと俯瞰した視点からながめている部分がありますね。そこも反感を買うんでしょう。
電波男が受けたのは、あれだけ「オタクは〜云々」と極端に言っておきながら、「オリはよう」と自分の話として語った、「俺の話だけど俺だけの話じゃねーんだよ」というスタンスだったからと言うのが要因の一つとしてあると思います。
それに対し、この本は「こういう人たちの話ですよ〜。まあ私についての話でもあるけど」というような立ち位置だったというのも、叩かれる一因ではあるのでしょうな。
本田透はオタクを「俺たち」と語り、杉浦由美子は「彼女たち」と語ったと。
「俺たち」と十把ひとからげに語ることは、「気安く一緒にするな」という反感も買いますが、本田透のスタンスだと、「でもこの部分は本田自身の話だから」という風に個別化できるのに対し、杉浦のスタンスだと、腐女子を三人称で一元化しているので「これは全部の婦女子に言えること」にしかならないんちゃうかなと。それでいて自分のことでも(一応)あるから、言外に腐女子以外をけなしておくようなものがある。で、文体がどこの層にも喧嘩売ってるように見えてしまうと。主張の内容自体は穏健的なはずなのに。
とまあなんか偉そうに書いてみましたが、最初に言ったとおりこの本が一体何をどうしたかったのかが未だによくわからないので適当です、インチキです、ハイ('A`)
細かい内容については、大体他のところで言及されてるみたいですし、腐女子ではない僕がどうこう言うものでもないと思うので書きません。まあ電波男の内容についてや男オタクについての話ではねえゴニョゴニョ。


しかし、結局この本は、腐女子版「電波男」には成れませんでしたな。少なくとも、現段階では。これからどうなるっつうものでもないですが。


傾向と対策

さて、この本が出たことで、これからどうなるかなっちゅうと、大きく分けて3通りのルートがありますな。

  1. 腐女子本は全然売れず、この話をしても収益にはならないという事になって、腐女子に関する本は作られにくくなる。腐女子はより影の存在に。
  2. そこそこ売れはしたものの、続編やらなんやらを作るほどではないとみなされる。現状維持。
  3. 腐女子本が話題になる。ここから堰を切ったように腐女子に関する本が出版される。

可能性の低いと思う順から並べてみましたが、実際この本てどんだけ売れてんでしょうね。案外売れてなければ前二つのケースもありえますが。amazonランキングで1000位台って、この手の本では売れてるもんなんでしょうか。
まあ昨今のオタクブームから考えると、一番可能性の高いのは3番目かなーと思います。
3の奴だと、そこからまた色々なルートに分岐するでしょう。

  • 1:「腐女子とかいうキモい連中がおりまっせ」とばかりに、適当な内容のクソ本が大量に出回る。
    • 1-1:内容自体はクソなのだが、ついつい反応して出るたびにみんな買ってしまい、これは新たな鉱脈とばかりにマスメディアが取り上げまくり、池袋東口にDQN大量流入腐女子乙女ロードを歩いてる姿が写メで盗撮されて嘲笑の的に。
    • 1-2:クソ本もぼちぼち売れる。メディアに大々的に取り上げられる程ではないが、人々の間に静かに腐女子という存在が認知されていく。さほど被害が出るわけでも無く、かといってなにか良い効果があるわけでもなく。
    • 1-3:あまりにもクソ過ぎる内容で出したは良いが誰にも売れず、すぐに沈静化。腐女子ブームは一時の幻となる。
  • 2:「これが本当の腐女子だ!」とガチな腐女子評論・研究本が出てくる。
    • 2-1:腐女子の歴史・流行や主義思想の潮流、個別の事例の詳細なルポなどが網羅され、さらには腐女子についての新しい思考を開陳する良作が登場。腐女子側からも多数の支持を受ける。
      • 2-1-1:この本の影響は留まるところを知らず、やがて日本中の、いや、世界中の女性が、というか女性だけでなく男性も、人類総ヤオイスキーの腐女子と化す。人類の夜明け。
      • 2-1-2:良本なのだが、腐女子や一部のオタ層あたりにウケるだけで、一般には大して波及せず。ただ、以降のオタク・腐女子論壇においては必読書あたりの地位をしめて終わる。
    • 2-2:「反オタク女子研究」とかなんとか題された腐女子本登場。期待にワクテカしながら読んでみると、対談で「腐女子はクソだ」という内容。よく見たら原書房から出版されており、プロレス本だったことが分かる。
  • 3:玉石混淆に、腐女子に関する書籍が幅広く出版される。
    • 3-1:どれも結構売れる。腐女子について様々なメディアで紹介され、結局は1-1と同じ結果に。
    • 3-2:どれもさっぱり売れずにすぐ廃れる。
    • 3-3:どの本もぼちぼち売れて、少々ブームになるが、特に良い本などがちょいと残る程度で、気がつくとブームが去っている。数年後、「腐女子?ああ、そんな言葉あったね」などと言われる。

さて、思いつくまま適当にこんな結果がまってるかしらと挙げてみましたが、最後のほうは飯食ったら頭回らなくなったんで本当に適当になってしまいました。スイマセン。
一番ありがちなところだと3-3あたりで、1-1や3-1あたりが腐女子の方々には嫌がられるでしょうかな。2-1-2あたりもあるかもしれません。2-1-1あたりが大穴。2-2についてはスルーで。1-3か3-2あたりが、望ましいところでしょうかね。


で、対策としては…こうなったら腐女子も一般人の矢面に立たねばならなくなるのは時間の問題ですから、どっかで*1言われてましたが、「真・腐女子思想大系」みたいなのを腐女子自身の手で作ってみるとか。ううん、駄目かな、駄目だかもだ。
どうなるんでしょうかね、ホント。

*1:あ、こちらの方ですね。http://d.hatena.ne.jp/Tigerlily/20060330