腐女子思想大系の著者を擁護する

私は、オタク女子研究の内容や、ネットの様々な書評などなどから、作者の杉浦由美子氏は擁護されるべきであると判断した。
なぜそのような結論にたどり着いたのか。
まず、私はこの本を読んでいる最中、数多い突っ込みどころのなか、次のような文章に出くわした。

男性向けの官能小説は、「教師」「人妻」「女医」といった現実の街の中にいくらでもいる職業の女性をテーマにしています。それは「自分でも体験できそうなセックス」「身近な題材でリアリティのあるエロス」が求められているから。
(「オタク女子研究 腐女子思想大系」 杉浦由美子 原書房


志村ーっ!ゲドマガゲドマガーっ!!
リアルかーっ!ゲドマガがリアルかーっ!
※参考リンク http://www.microgroup.co.jp/novel/2d/

そう心の中で叫んだ瞬間、脳内なるほどくんが「発想を逆転させるんだ」と言ってきた。
そうだ、おれはリスペクト精神を大切に生きてこうと誓ったではあるまいか。仮にもこの人はライターさん。オタク関連の事柄に深く精通していると本人が仰っているのだからそうに違いない、それを俺のようなド田舎の糞虫ごときがいちゃもんつけるなんて、ああ自分はなんて浅はかで愚かだったんだ!
そうだ、なるほどくんの言うとおり、発想を逆転させよう。そう、この人は別にゲドマガを知らなかったのではなく、知ってた上でこのようなことを書いたのだ。
ということは、論理的な帰結としては杉浦女史の身の回りには「魔法少女」「猫娘」「ロボ」「触手」と言った人々(?)が身近でいくらでもいるという環境であるに違いない。恐らく、ひとたび家の門をくぐれば、七人の妹が待ち構えているという境遇の中で成長してきたのであろう。実際ちゆちゃんとかなら近くに居ても不思議ではない。
そういう彼女なので、オタク男性にとっての魔法少女とのセックスというのが、誰でも体験できるようなリアリティのあるエロスに見えたのであろう。
これは誰が悪いのではない。彼女がたまたまそういう環境にいたので、世の大多数のオタク男性にとっては魔法少女の知り合いの一人や二人はいても当然と考えるようになってしまっただけなのだ。誰が悪いのではない。
だから、私はこのことで彼女を責めるのは間違ったことだと思い、あえてブログにも書かぬまま、この想いを心の中の小箱に仕舞い込もうとした…


しかしである。もし彼女がそういう環境にいたとしたら、彼女自身、凡百のライターではないだろう。というか、そんな環境下でふつうの腐女子とかやってられないだろう。それなのに、どうしてこのような釣り書籍となってしまったのか?…考えてみれば、まとめサイトやブログなんかでの書評を見ていくと、「こいつは偽腐女子だろう」などという意見もよく目にする。
腐女子であって腐女子でない…
ゲドマガ世界を当然のことと思い、腐女子であって腐女子でない人間、その条件を満たすのは…
そう、杉浦由美子は、バーチャルネットふたなりライター由美子35歳だったんだよ!


…なんということでしょう。
いままで冷静にかの本について考えてきた僕ですが、衝撃の事実を前に、とても落ち着いていられません。
こうして考えると、彼女の書籍に現れていた様々な問題点も、仕方のないことだったという気がします。その欠点と言うのは、前のエントリで毒蝮麭麺 さんがまとめてくださってます。

毒蝮麭麺 『まだ読んでないわけですが、あちこちから入ってくる情報に
よる、この本の欠点。
1.やっぱり少し引いたところから語ってるところ。
いっそ世界の中心で801を叫んでしまえば、共感が得られたかも
しれない。
2.資料的価値がないところ。大系とは書いているものの。
3.この作者が誰?っていうところ。本田透さんの場合は
しろはた』でそこそこ知られてたわけですよね。
杉浦由美子って初めて聞く名前なんで…。

まず1について。少し引いたところから語っている、本当に当事者なのか?切実さが無いんじゃないの?という話は、仕方ないのです。だってふたなりですから、やおい的なものに触れてはいても、真に腐の女子ではないのです。ですから、腐女子というものを自分の話として書くことは、彼女にはできなかったのです。たぶん、やおいの掘って掘られてという世界も、ゲドマガ世界の住民の彼女にとっては、触手プレイの延長でしかなかったのでしょう。そういえば、リーバーシブルを嫌われているとも嘯いてましたが、これは触手責めは裏返ったりなどしないということから来るのかもしれません。
なんにしても、ふたなり美少女(推定)の杉浦氏には、少し引いたところからしか語れないのです。彼女が悪いのではありません。許しましょう。
次に、2について。資料的価値がないということですが、あくまで氏はバーチャルな存在。なので、ソースの弱いネット上からの又聞きに頼る部分が必然的に多くなってしまいます。すると、2chレベルの適当な話や、「とある〜によると〜」という言い方で、又聞きのようになってしまう部分が多くなるのです。
彼女がバーチャルネットライターでなく、中の人が居るなら、国会図書館まで足を運び、様々な資料をまとめて、もっと資料的価値の高いものを作っていた筈です。こんな過ちは犯さなかったでしょう。これも彼女が悪いのではありません。許しましょう。
最後に、3つめ。この作者誰?ということですが、仕方ないのです。ネット上だけの存在なのですから、今まで誰も知らなくても仕方ないのです。
豊崎由美門下のライターで、今までアエラとかで色々書いてたんでしょ?っていうかbk1のページに本人のプロフィールとか顔写真とかあるじゃん、という向きもあるでしょう。
しかし、実際に彼女を見たことがある、こんな人だよという話を誰かしていましたか?殆どが、ネットの情報から「こんな奴らしい」という話ばかりではないですか。bk1のページは、インタビュアー:杉浦由美子、インタビュイー:杉浦由美子という自作自演でしょう。だって「杉浦由美子に聞く」とは書いてありますが、誰が書いたとはいってません。
写真は世を忍ぶ仮の姿でしょう。腐女子というより負け犬に近い容姿ですが、これはおそらく出会い系サイトかなんかから適当にとってきた画像でもおいといたんでしょう。まさかふたなりのアニメ絵を晒すわけには行きませんからね!


さあ、腐女子本を叩いている皆さん、もう杉浦さんを叩くのはやめましょう。
彼女…というか彼と言うかなんというか…は、悪い編集部から無理やり腐女子について書くことを強要されたいたいけなふたなり美少女なのです。僕の妄想なんで根拠はありませんが。
なんにしても、ふたなりを責めてはいけません。僕は話題目当てで魂の無いエセオタクライターには厳しいですが、ふたなりには寛容です。皆さんも許しましょう。