オタクの「遷都」は起こりうるか?

アキバblogでのこの記事とか、夏の葬列この話なんかをみて思うのですが、やっぱり電車男とかの効果で酷い有様になっているようですねえ、秋葉原
DQNが大量に流入したことで「アキバもうだめぽ」的な意見が漂っていますが、実際今後オタクの居場所はどうなるんですかね。と言うことを考えてみましたよ。
まず、前提として秋葉原が今DQNや一般人の観光地と化しているのですね。テーマパークのメインコンテンツはオタクたちの生活そのものです。彼らはマナーが悪いので、オタクも店も皆迷惑しています。秋葉原にはそうした観光客が金を落とすような商業施設や商品は少なく、メイド喫茶などを除いて、彼らが売り上げに貢献しているということはあまりないようです。そのため彼ら向けの市場開拓がこれから行われようとしているみたいです。昭和通りなんかは、ヨドバシを中心としてそうした準備が進められているようですね。
オタクと秋葉原の今後を考えるに際しては、いくつかのルートが考えられます。
まず一つ目は「秋葉原に残り続けるルート」がある。このなかにもいくつかの分岐がありうるだろう。例えば

  • 秋葉原に残り続ける
    • DQNの流入とまらず、DQNにオタク駆逐される。秋葉原北斗の拳の雑魚モヒカンみたいな奴だらけの廃墟になる。(そして誰も居なくなった編)
    • DQNが流入してくるが、DQNとオタのパワーバランスが次第に保たれ、オタとDQNの同居する街へと変貌。冷戦状態の殺伐とした街に。(鉄のカーテン編)
    • DQNが流入してくるが、一時の騒ぎであってすぐに沈静化。気がつくと少し前までの秋葉原と同じに。(変わらぬ日常編)
    • DQNが流入してくるが、魅力的なオタコンテンツに触れ回心。今までの悪行を懺悔したオタ転向組DQNにより、今まで以上にオタク人口が激増。三次元世界を制覇。(萌えは世界を救う編)

以上でよろしいのはせいぜい下二つでしょう。上二つはバッドエンド…特に一番上は今皆に危惧されていることですね。上から二つ目のは可能性として低いでしょうね。いや一番低めなのは最後のやつなんですが、それでもオタとDQNが同じ空間に存在し続けるというのは共産党自民党で連合政権組むことと同じくらい困難だと思うのですよ。DQNはオタクを攻撃せずにはいられない性質をもった動物ですからね…表立ってにしろ陰ながらにしろ、キモイキモイと言われながら同居し続けるのは、オタクにとって耐え難いでしょうし、そんな場所では伸び伸びとすごせません。最終的には一番上の奴と同じ結末に至るしかないと思います。
多分みんなが望む結末としては3番目、ブームみたいなのが過ぎてDQNも巣のある森に帰り、元の心地よい秋葉原に戻るというルートだと思うのですが…これも無理なのではないでしょうか。
秋葉原開発計画のピークはまだ来ていません。来年予定されているITタワーの全面開設が完了すれば、ヨドバシ開店時と同じがそれ以上の一般人やDQNの流入が起こるのは確実です。それはお祭りのような一瞬で終わる類のものではありませんから、そうした状態が断続的なものとなるでしょう。そうすれば、ますますオタクの肩身が狭くなるのは間違いありません。なにも悪いことやってないんですけどね。
と言う事柄から、秋葉原に居続けることが可能なのは最後の「秋葉原に来るものは悉皆オタクと化す」という場合のみなのですが、まず無理かなと。本田透さんや森永卓郎先生が頑張っていらっしゃるとはいえ、流石にいきなりDQNたちの盲目的で差別的で攻撃的な本性が、萌えによって変化するのはありえないと思います。あるいはオタクを知ったかぶって理解示すようなふりをしながら、内心見下しまくって搾取する気マンマンの連中が増えるだけかもしれません。

では、どうすればよいのでしょうか。もう一つのルートとして、「秋葉原を捨てる」というルートがあります。例えば次のような分岐が起こりうるかなと思います。

  • 秋葉原を捨てる
    • 秋葉原を捨てたはいいが、どこにも居場所が無くなる。もはやオタクに心休まる時は無い。(オタク霧散編)
    • 秋葉原を捨て、現実を捨てることを決意。手始めに練炭でも買ってくるかな。(ノーマルエンド)
    • 秋葉原を捨て、現実を捨てることを決意。気がつくとモニターの内側にいる。ここは   どこだ 三次元は  もう見えん ならばよし 萌えキャラを探しにいくか この蒼き二次元の向こうへ――(トゥルーエンド・蒼天航路編)
    • 秋葉原を捨て、別な土地に新たにオタクの王道楽土を築く。(オタクヒジュラ編)

…なんか真ん中二つが限りなく同じなような気もするのですが、それは置いといて、まあ、ありうるのは一番上か一番下のどちらかだと思います。そしてこれならば下のほうが可能性として高かろうとも思います。だって何千億円もの市場がありますから。秋葉原を捨てても萌えは捨てず。
では一体どこに行けばいいのでしょうか。「電波男」や「ルサンチマン」では、オタクは渋谷への聖遷を行い109を占拠するという未来を予測しています。しかし渋谷をオタクに染める前に、駅に降り立った瞬間DQNに全員狩られてしまいそうな気がします('A`)。いやわかんないですけど。だって渋谷って休日とか酷いんですよ。ハチ公前の交差点なんか人が一杯で、上から見てるとまさに人がゴミのようです。もし僕がムスカさまだったら躊躇わずにラピュタパワーで皆殺しですね。
電波男では、アキバ放逐から少しの間が開いた後に、雪崩をうったように国民総オタク化が始まり渋谷がオタクタウンになると説いています。まあこの辺は殆どインチキで書かれたものでしょうが、絶対にありえない話でもないです。ただ、その「少しの間」にオタクはどこを彷徨うのかという問題があります。
個人的な予測としては、腐女子は池袋に一極集中して、男オタクは中野ブロードウェイにつどうようになるのではないかなと思います。このあいだ中野に立ち寄ったときは、まんだらけを中心としたオタク化が激しく、驚きました。メイドカフェには挫折して入れなかったのですが。オタクが暮らす分には何不自由しないだけのものはそろっているように感じましたよ。あそこも秋葉原と同じく、計画的にオタショップが増えたというよりは、自然発生的にオタショップだらけになってきているようですから、秋葉原をでたオタクたちがまず流れ着くのは中野ではないか、と思うのですよ。
ただ中野だと、単純に「狭い」という問題が発生すると思うんですよね。ただでさえオタクからジジババまで、様々な人が幅広く足を運ぶブロードウェイに、これ以上オタクが詰め込むにはキャパが足りないと思うんですよ。周りのビルとかがオタク向けの店に買収されてくとしても、やっぱり秋葉原ほどの規模にはならないんじゃないかなあと。まあ、全部予測の範囲での話ですからなんともいえないのですが。
ただやはり一時的にオタクが遷都するとしたら中野だろうという確信はあります。先ほども述べたように、秋葉原は個人の趣味から自己組織化するような形でいまのオタクの街へと進化していったのですね。それ以前の都市はどういった存在が形作っていたかと言うと、国家や自治体主導、つまり「官」が計画立てて作るような街(例として新宿西口など)から始まりました。これはやがて主導権が大企業などの資本にうつりかわり、よりコマーシャリスティックな都市づくり、恋愛資本主義的な都市づくりが行われてきました。「民」主導になったのですね(例えば渋谷、池袋、お台場など)。そして秋葉原は個人たちの趣味が、「個」が主導することで街がつくられたのですね。まあこれ全部「趣都の誕生」の受け売りなんですが。詳しくは本買ってみてください。で、現在このような特性を持つ土地は、秋葉原の他には中野ぐらいしかないと思うのです。他にも下北沢とか吉祥寺も闇市的な雰囲気は似てますが、DQNだらけですし。オタクには親和性があまりにうすく、そちらに流れるということもまず無いだろうと思います。神保町は、あれはもうジャンル問わず「本」で完成してますからね…でも神保町にオタクが流れるのも、ありえない話ではないと思います。
なんにしても結論としては、オタクはアキバを捨てた後、中野ブロードウェイに集うであろう、ということなのですよ。