「ふたなり美少女の僕がゴスロリハーレムの玉座に君臨し日々バケツ3杯分の精液を搾り取られ続ける」ようになる方法

ひらけ、夢の扉!
クロミ 「おねがいマイメロディ」より)

タイトルはhttp://dolbacky.jp/cider/hasulog/archives/2006/01/post_349.htmlから。
明けましておめでとうございます。
結局年末は更新出来ずじまいで、まあ今年もそんな感じなんだろうなと思いつつ、新年一発目ということで今回はこんな本をご紹介したいと思いますよ。

脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ

脳は眠らない 夢を生みだす脳のしくみ

この本は心理学・分子生物学・神経生理学・物理学などの様々な学問領域において、「夢」と夢をめぐる「脳」いうものがどのように研究されてきたのかを書いた本です。
レム睡眠」というものが発見されるところから夢研究の端緒が開かれ、そこから脳医学者たちの手によってフロイトの夢理論が論破され、さらにまた心理学者たちの脳研究によってフロイト理論が再評価され…といった研究史を辿りながら、脳と夢についての理解を深めていく構成になっています。
それだけでも凄く面白いのですが、今回注目するのはそこではありません。
僕はこの本を通じてタイトルのように喪男がある朝目覚めたらふたなり美少女になる」とかの、ありえない妄想を実現する手段の一つを発見したのです!
…うん、なんだけど。
でも、みんな一度は妄想した事あるでしょう。エロゲーやりながら、モニターの向こう側に、2次元に行けたらって。夢でもいいじゃないですか、行ければ。
一部の妄想力逞しい人の中には覚醒しながら2次元に旅立てる人もいますが、妄想力にも格差があります。
しかし、夢を見ている時は論理的思考が抑えられているので、誰もが2次元の扉を開くことが出来るのです!


すこしだけ夢について説明しましょう。
夢には様々な効果があり、それは生存に適した行動のリハーサルであったり、覚醒時にインプットされた情報の編集・整理作業だったり、覚醒しているときに感じたストレス感情の処理だったりするそうな。

動物から受け継がれた夢見るということは、恐ろしい出来事を安全な状態でシミュレートする行為。だから人や動物に追われたり、どこからか落っこちたり、誰かと戦ったり、職場で深刻な失敗をするような、様々な種類の不安な夢を見るのです。また情報の整理を行うものでもあるので、突飛な夢の中に知人が普通に登場してたりします。また鬱病患者は、レム睡眠が少ないので夢をあまり見れず、ストレスを処理仕切れないのだという説もあります。
とはいえど、ただ不安な夢ばっかりというわけでもなくて、楽しい夢も見たりします。たとえば空を飛ぶ夢。それはフロイトっぽくオーガズムの隠喩というより、幸福感の比喩的な表現だったりするそうです。
カナダの大学生を対象に50年かけて行われた調査によると、時代・文化を超えて最も普遍的なテーマの夢があり、それは「追われる夢」「落下する夢」「学生生活の1コマ」「性的体験を持つ」の四つに分類できるそうです。
それらはあくまでも生存のリハだから、夢と実際の覚醒時との区別がつくようにしなければいけない。人間は「これは夢だ」と言語を使って判断することで、夢と現実の区別がつきます。言葉を持たない動物や未成熟な子供は夢と現実の境界の判断がつかない。そうなると、自分や周囲を危険な目にあわせかねない。
だから普通、夢は起きたらすぐ忘れてなかなか思い出せないようにできているんですな。


さて、そんな風に自分の思い通りにならず、覚めればすぐ忘れてしまうような夢。しかし夢を見ている最中にも「これは夢だ」と自覚しながら、夢の世界を遊ぶことが出来たりします。
それを明晰夢といいます。
明晰夢」でぐぐると、オカルト系というか、流行のスピリチュアルなサイトがちょくちょく引っかかります。「幽体離脱」とかその辺の話と一緒に説明されたりとか。なんで人によっては「明晰夢かよ…」みたいな感じでちょっと引いたかも知れませんが、まあもうちょっと読んでくださいな。
明晰夢の研究は比較的新しい分野で、こういうオカルト的な言説も多いものの、きちんとした科学的な根拠のある現象です。定義としては「レム睡眠に入り脳の生理的な状態が変わっても、強い意志が働いてるために、自己意識が保たれている状態」ということだとか。
どんな作用で夢のなかで自己意識が生まれるのかは未だ研究中。しかし、夢を見ているときに夢の世界を意識するのは可能で、さらに訓練をつめば、夢の展開を意図的に操作できるようになるのです。
どうすれば明晰夢を見られるようになるのか、本の中でも様々な方法が示されています。瞑想を行う人は明晰夢を良く見るそうです。「自分の感情や行為・思考を第三者の目で眺めると同時に、当事者としてもそれを主体的に体験できなければならない」というのが夢を見ている最中に明瞭な意識を保つコツなのだそうですが、これは瞑想を行うときと同じなので、瞑想できる人は明晰夢も見やすいそうです。

また睡眠時間の後半にはレム睡眠の継続時間が長くなり、明晰夢でなくともストーリー性のある鮮やかな夢をみる。そこで通常よりも1・2時間早く起き、30分程度起きた後で二度寝する。と、明晰夢を見る確率が15倍から20倍あがるそうです。


明晰夢研究の第一人者であるスティーブン・ラバージによると、明晰夢の経験を積めば積むほどいろいろと夢を操れるようになるんだとか。そして読み進めていくと、さらにとんでもないことが書かれています。

明晰夢に特有な意識の状態を利用して、セックスを楽しむ人たちもいる。これこそ究極の”安全なセックス”である。
アンドレア・ロック 「脳は眠らない 夢を生み出す脳のしくみ」より)

これだ!
いや、実際はそんな大きなトピックでもないのですが。
ある人は明晰夢を見るときその内容の3分の2が性的なもので、実際にオーガスムを感じることもある。…というので調べたところ、実際夢の中の体験が現実のように感じられ、男女問わずオーガスムに達することあできるんだそうです。
よくエロい夢見ると夢精するとか言われますが、実際には射精する場合とそうでない場合があります。
レム睡眠時にはペニスが自動的に勃起するので、その刺激で射精するのが夢精です。そのときもエロい夢を見るものの、それは勃起した感覚が脳に伝わり、それを説明するために夢がエロティックな筋書きを作るという順序になるのです。つまり、生理的反応がまずあって、それに対応した夢が作り出されるのですね。
明晰夢の場合、夢精はしません。
明晰夢では夢を見ている人が意識的にセックスを持ち込むので、夢と生理現象の順序が逆になります。普通、妄想の場合はそこで勃起したりすることもありますが、レム睡眠中は運動神経系の殆んどがブロックされているので、そうはなりません。


たとえ脳内で生み出した幻想でも、夢の中では現実のように感じられます。夢も目覚めているときの妄想も、同じように記憶の中の情報を再構築して出来上がっているものなのに、なぜ夢のほうが遥かにリアルなものとして感じられるのでしょうか。
それには二つ理由があります。
覚醒時に妄想していても、外から入ってくる情報を五感で感じているので、そちらの情報のほうがニューロンを遥かに刺激するので、どんな優れた妄想でも現実の感覚刺激には負けてしまうのです。しかし脳は、夢をみているときにそうした外的な情報をほぼシャットアウトし、内的に生じた情報だけで夢を形作るので、虚構のイメージを現実として受け止めやすいのです。つまり、夢ではイメージのみに集中しているので、現実と感じやすいのです。
二つ目は、覚醒時には内的に生じたイメージがあまりにリアルなものとならないよう、脳が意図的に制御されているのです。進化的な話で言うと、現実に襲ってくる捕食者と想像上の捕食者が区別できないと危機に陥るからっつうことですね。でもまあ、妄想と現実の区別がつかないとヤバイことになるのはオタクなら誰でもご存知でしょう。
現実認識と妄想にはっきりとした差をつけるにはセロトニンつう物質の働きにが大事だそうですが、レム睡眠中にはこのセロトニンの分泌も抑えられているので、内的な妄想が外的な現実と感じられてしまうのです。外からの情報が入ってこないので、なおさら夢の中では現実と妄想の区別がつかなくなるのです。


オタクは良く妄想を口に出し、妄想と現実、夢と現実を語りますが、意外と夢については知らないもの。
夢とは妄想の一種で、現実の一種。
現実ではどんなに妄想力の発達したオタクでも、自分や他人の妄想に「ぶっちゃけありえなーい!」と思ってしまう瞬間が少なからずありますが、夢ではそれが全てアリアリな現実のものと感じられます。さらには全てが思うがままにならずとも、訓練を積む事で物理法則すらコントロール出来るようになるのです。
全てのオタクが目指すイデアの世界への道は、意外と身近で良くお世話になってる場所――つまり夢のなかにこそ、存在するのではないでしょうか。

夢も起きているときの現実も幻想の上に成り立っている、あるいは、夢を見ているときの意識も起きているときの意識も本質的にはそう変わらないといえば、奇妙な感じがするかもしれない。しかし、こうした仏教の認識論は科学的に根拠のあるものだ。覚醒時も睡眠中も、私たちの意識は、その瞬間に入手できる最善の情報源から、脳が作り出した世界モデルをベースに機能している。…(中略)…記憶の強化や学習に関する多くの研究が示すように、夢の中で何かをしたり、見たり、感じたりすることは、実際に何かをしたり、見たり、感じたりすることとただ似ているだけではない。経験にもとづく世界モデルを作り上げる神経回路線にとっては、この二つはまったく同じことなのだ。

アンドレア・ロック 「脳は眠らない 夢を生み出す脳のしくみ」より)

夢だけど、夢じゃなかった!
(サツキとメイ 「となりのトトロ」より)


寝てばかりもいられねえっつうのが、人間の辛い所ですがね。
それでは皆様、よい初夢を。