桜蘭高校ホスト部は少女マンガ版ハイスクール!奇面組

面白いですよね、ホスト部
にじいきで本田さんも言ってましたけど、「夜王」みたいな作品かと思ってたら「桜蘭高校オタク部」みたいな作品で、ひたすらホスト部員がハルヒに萌え狂ってるだけという話ばっかりですし。
しかし、どこかに似たような作品があったはずだと思ったのですが、なかなか見つからなかったんですよ。
げんしけんとか究極超人あ〜るとか、あの辺の感じとも違うし、フルバとかの逆ハーレム系マンガではあるけども、ちょっと違いますし。
なんでこんなに気になるのかと、先月の藤木源之助を意識する伊良子のような心境でしたが、偶然「フンフンむちむちおどり」をしながらアニメを見ていたら悟ったのです。
桜蘭高校ホスト部」という作品は、設定を少女マンガ向けに再構成したハイスクール!奇面組なのですよ!


奇面組は「むさい男集団に女の子が絡んでくる」という女子→ 男子な方向性をもった構造なのですが、ホスト部は「女の子がイケメンの集団に囲まれる」という男子→女子の方向の構造になってるわけです。これは男性向けか女性向けかっつうことなんですが、自分が積極的にハーレムを築いたわけでなく、あくまで成り行きでそうなってるという言い訳の余地をのこしているのです。
言い訳ってなんの言い訳かというのは後でも述べますが、このホスト部っつう作品は、喪女である藤岡ハルヒが「男には媚びぬ!引かぬ!省みぬ!」と喪でありながらも美男子から萌えられるという作品なのですよ。本田さんがフルバを「モテネー少女本田透が生み出した妄想」と評されておりましたが、ホスト部もまた似たようなものでして、「喪女ハルヒが生み出した妄想」なのです。ですが、さすがに妄想と悟られてはいけないので、「このウハウハ逆ハーレム状態は自分が望んだものじゃないから妄想とは違うよ!」という言い訳をしてるのです。
って今物凄く適当に言ってみたんですけど、ホスト部奇面組」なんて言ったせいで余計にそんな気がしてきました。
最終回はハルヒの夢オチです。


さて、白泉社系少女マンガにおける逆ハーレムでは、

ルックスは超美形で、かつ、一緒に暮らしててもハメられる心配はない
しろはた http://ya.sakura.ne.jp/~otsukimi/hondat/view/fuba001.htm

ということ、言い換えると自分がイケメンに萌えられている感覚を満たしつつ、イケメンたちでやおい妄想を楽しめることが大事なのです。そのためにも、主人公=自分はチヤホヤされながらセックスの関係までいかない、友達以上恋人未満という関係性が一番都合が良いわけです。


まず「チヤホヤされる」の段階として、ホスト部奇面組も、上で挙げたような「男集団のなかに混ざっている女子」というオーソドックスな仕組みをとってるのですが、奇面組では唯と千恵の二人に分散されてしまう関心を、ハルヒ一人に集中させて、より自分一人が萌えられている状況を作り出しているのです。ホスト部がホストとして女性客をとるのも、あくまでホスト部員がイケメンであるということを際立たせるための噛ませ犬としての女性客に過ぎないのです。
と大層に言いましたが、まあこの段階はハーレムマンガなら鉄板のパターンですね。問題は「チヤホヤはされてもセックスの段階まではいかない」ということです。
フルーツバスケット」は「呪いで女に触れると動物になってしまう」という仕組みを使うことで「手を出されない逆ハーレム状態」を保持しておりました*1
そしてホスト部は「男を奇面組にしてしまう」ことで「手を出されない逆ハーレム状態」をキープしているわけです。
「男を物語の仕組みで去勢する」のでなく、「男をキャラクタの性格で去勢する」わけです。
ホスト部部長の環は一番分かりやすいですね。イケメンの零ちゃんですわ。いや、零ちゃんがイケメンになったというよりは、切出翔と足して2で割ったというか。そこに少女マンガ用に「金持ち」とか「頭いい」とかのオプションを付け加えてるわけです。他のキャラクターも大体そんな感じですよ。
ホスト部の部員達の存在を計算式で表しますと、
奇面組+色男組)÷2+少女マンガ用スペック補正=ホスト部
となるのです。
みんなイケメンなのに「父性愛としてしか理解できないから」とか「恋愛感情に無自覚だから」とかなんとかいう理由をつけてハルヒには手を出さないのです。これは言い換えますと、内面が奇面組だからハルヒに手をつけないのです。奇面組はアホだから唯ちゃんに手を出さない」「よって奇面組的な心をもつホスト部ハルヒには手を出さない」ということなのです。
とぼふさんホスト部は擬似家族」とおっしゃってますが、これもより安全な腐女子妄想のために必要なキャラクターたちの関係性なのかもしれませんぜ!「父」である環と「母」である鏡夜ならぱやぱやがあっても問題ありませんが、「娘」であるハルヒとぱやぱやしたら大問題だという理屈です。
あんまりでっち上げると大丈夫だろうかと不安になってきますが。


さて、そんな風に心が奇面組の安全なイケメンたちに囲まれることとなったハルヒですが、ホスト部の巧みなところは、そこからさらに主人公のハルヒを男装させて、喪女ハルヒにも萌えられるようにしているのですな。
んでまーそれも「ルックスは超美形で、かつ、一緒に暮らしててもハメられる心配はない」ということに一役かって、なおかつ元々中性的なハルヒの女性らしさをさらに削って、より中性的な存在にすることでハルヒ自身にも萌えられるような仕組みで一挙両得みたいな話もあるのですが、まあタイトルとずれちゃうんで気が向いたらまた。