喪男に厳しい藤子A先生

どこにでもいる喪男予備軍のサラリーマン・青井達夫(22歳)は、会社で完全にはぶられており、飲み会も「お前は来るな」といわれる毎日を過ごしていた。



狭いアパートに帰り、中島みゆきの「ひとり上手」を聞きながらボソボソとメシを食べていると、孤独に耐え切れず一人嗚咽してしまう。





と、そこに喪黒福造なるセールスマンが現れる。その名刺には「ココロのスキマ…お埋めします」と書かれている。



「高いビルがどんどんたつのに比例して孤独な人間もどんどん増えております。孤独な老人孤独な女性孤独な青年そして孤独な少年までも……わたしの仕事はこういった淋しい人たちに夢と希望を与えるステキなおともだちを紹介することなのです。例えばあなたには…」



ということで美女の写真を見せられた達夫は、まんま出会い系サイトなことを言う喪黒にとまどいながらも、テープレコーダーに録音された彼女の声とお話したり、彼女と自分とのコラ写真をつくってもらったりして楽しむ。



会社では仕事に対し積極的になり、仲間を自分を認め始めるなど、全てが順調にいく日々。
そしてある日、達夫はついに彼女に対して手紙を書く。その返事は



心臓を高鳴らせて公園に向かうと、ベンチに彼女が座っている。辛抱たまらずに一気に駆け寄ってその手をとったが、違和感に気づく。
「こ、これは人形じゃないか!」
そのとき。



痴漢の罪をきせられた達夫は群集に袋叩きにあい、しまいには警察に突き出されてしまう。
「ち、ちがうよっ!!ち、ちがうったら!ちがうんだー!」


ということで「笑ゥせぇるすまん」より第一話「ともだち屋」を紹介したのですが、A先生の喪男への厳しさがお分かりいただけましたでしょうか。
喪男がモテそうになるなんざ、それは絶対に悪意ある人間による美人局じゃー!」というA先生の透徹した現実認識は、やはり伊達に藤子不二雄でないなと思いますね。


夏の葬列なんかをみていると、一般人やオタクだけでなく、喪男もまた藤子不二雄ならF先生の方が好きなようにみえます。ネタにしやすいからでしょうが、F先生の作品の根底に流れる喪スピリットがなにかを感じさせるのでしょう。


しかし実際にはA先生も喪な作品をこれでもかこれでもかと作り上げているのです。*1
しかしF先生の作品は基本的に救いがあり、黒い話でもコミカルに描くので口当たりが良いため人気があるようですね。
確かにA先生は口当たり最悪というか、「カカオ99%チョコ」くらい食う人を選ぶ部分があるので万人にはオススメできない。
しかしながら、ハッピーエンドで終わる作品を見るだけで胸がムカムカしてしまいには涙が出てくる、喪な作品を読んでも主人公の喪男が女にちょっとモテるシーンがあるだけでリアリティを全く感じなくなるというような、相当疲れてる人には合うかもしれませんよ。
なにせA先生はそんじょそこらの喪男漫画家と違って、殆どの場合喪男を甘やかしませんからね!まあイケメンも大概甘やかさないんですが。
とにかくA先生は喪男が良い目を見るわけないだろ!見るとしたらそれは絶対更なる不幸への序曲なんじゃー!」という強迫観念にとらわれているとしか思えないような作品を描くのでオススメです!



…どうでもいいけど、こんな話のアニメが作られてヒットしてたって、やっぱりバブル期には多かったんだよね、喪男…ウウッ(´;ω;`)

*1:笑ゥせぇるすまん」もそうだし、「魔太郎がいく!」とかも代表的ですよね。ハットリくん…も微妙にそうだし、まんが道も基本的にA先生が喪男だから…あれでもシャドウ商会変奇郎はイケメンだった気が。('A`)