Vフォー・ヴェンデッタ-怪傑キモ面-

――"Ⅴ"はヒーローですよね?
NP この映画は型どおりのスーパーヒーローものじゃありません。確かにこれは英雄端ですが、ギリシャ悲劇的な意味でのそれです。"Ⅴ"は復讐鬼です。単なる正義の味方ではありません。彼の行動には許し難いものもあるでしょう。彼は悪役であり、モンスターでもあるんです。
(「Vフォー・ヴェンデッタ」パンフレットのインタビューより、ナタリー・ポートマン*1

つうことで見ました、Vフォー・ヴェンデッタ
これは…すごい、凄いキモイ映画です!感動しました!
ファントムとこれがほぼ同時に出てくるというのは、やはりシンクロニシティ

ナタリーポートマンに超キモイことをするV様。
すっかり魅せられて、劇場で売ってるV様のお面を買ってしまいました。次回は是非「デロリンマン」を映画化して、劇場でオロカメンの面を売って欲しいです。

ということで以下ネタバレ感想('A`)
時は近未来、イギリスは「オタだの腐女子だの、キモイ人間は差別されてしかるべきなのだ!」とかなんとかネオナチみたいなこと言ってるDQN軍団に支配されていました。
一方で、六本木ヒルズに居座るDQNどもを殺してやる殺してやると言っている勢力もまた存在したのです。
ある夜、ヒロインが男の家に遊びに行こうとすると、その途中でこれ見よがしなDQNに絡まれるんですよ。
そこを偶然(?)通りかかった謎の仮面男「V」が蹴散らします。ここまでは普通のヒーローものなのですが、もちろんそこは喪男映画。
助けたヒロインに向かって何も言わずに去れば格好良く決まるところを、初っ端から不必要なまでのキモいトークを延々と展開して「あんたキOガイ?」とまで言われます。
でまあ彼女と一緒にビルの屋上にでると裁判所をどかーんと爆破。V様は超ノリノリできたねえ花火だぜとか言ってるんですが、ヒロインはドン引きです。


あくる日、テレビ局に乗り込んで「キモメンを差別するのは良くない!キモメンがDQNを恐れるのでなく、DQNがキモメンを恐れるべきなのだ!ということで全国のキモメンは来年の今日に集合してDQNを成敗しましょう」とかなんとかキモ演説を垂れ流します。
でまあテレビ局から逃げようとしたら警察に捕まりそうになって、あやういところをヒロインに助けられます。キモメンにも五分の魂とでも思ったのでしょうか、「レオン」の頃から童貞でキモオタのオッサンに優しいナタリーポートマンだから出来る芸当です。


次にヒロインが目覚めると、そこは同人誌やDVDあふれるキモオタルーム。というのも、助けたときに気絶してしまったヒロインを、V様が自宅のオタルームに連れて帰ってたのです。ちなみに殆どがソフマップから万引きしたりウィニーで違法ダウンロードしたりしたものですが、V様はさも武勇伝かのようにそれを語っています。中学生のようで微笑ましいですね。もちろんヒロインにはキモがられます。
V様に誘拐・監禁状態に置かれているヒロインは、「DVD一緒に見ようぜ!」とか言って無理やりキモメン映画をみせてきたり、朝もはよから等身大フィギュアと遊んでたりするV様を見て流石に「キモすぎ」と思い、隙をみて逃げ出そうと思いました。


そしてある日V様は「三次元に手を出す悪いロリコンをぶっ殺すから手伝ってよ」と言ってヒロインにピンクハウス系のイヤンな格好を無理やりさせて、ロリコン司教に色仕掛けをさせようとします。
しかしヒロインは「キモ面があなたを殺そうとしてます!教えてあげた代わりに助けて!」と寝返ります。
しかしロリコンは「即レイプ」と言って聞きません。もちろんV様に速攻で殺されます。
ヒロインはその後ボーイフレンドから「アイワズゲイ」と告白され、「実は規制前の同人誌が山ほどあるんだ」とまたキモオタルームに案内されます。しかしそれが児ポ法に触れてしまい、ボーイフレンドともどもヒロインは捕まってしまいます。


そして、そこで…ナタリー・ポートマンにこんなことやって大丈夫なんかっつう事態になります。キモメン映画の本領発揮という感じで、ウォシャウスキー兄の「女はおっかねえ!信用できねえ!でも女じゃなくなれば大丈夫です」というメッセージがビンビン伝わってきました。
っていうかV様はホント、ヒーローっつうより「たまたま矛先がDQNに向かった鬼作さん」みたいな感じで、根は絶対鬼畜ですね!

そんなこんながありまして、見事ヒロインのシャクティーパットに成功したV様。決戦の日を一年後とか中途半端に遠くしたせいで暇すぎてドミノ倒しで遊んだりしてました。
そして決戦が迫ってくると、ヒロインが自分のキモルームまでわざわざやってきてくれました。
「鬼畜道に堕ちて、他人にカチコミかけるのは間違ってるわ!萌えがあれば良いじゃない!」
とヒロインに説教されるV様。しかし
「確かに私は、私をこのようなキモいツラにした連中をぶっ殺そうと思って今まで生きてきた…それなのに、君と出会って、君をポアしようとしてるうちに、私の心の中の萌えが目覚めたのだ…しかし、だからこそ、君のためにDQNを殺す」みたいなこと言うんですよ。
それでラスボスのDQN軍団と対峙して、「ぶっ殺してやる!最後にそのキモイ仮面をいい加減外せ!」と言われ「絶対に嫌だあ!」と叫んで皆殺しにしますが、相打ちに。
同時進行でV様と同じキモ面をつけたオタクやら婦女子やらガチホモやらなんやらが大量にDQNの牙城である六本木ヒルズに駆けつけます。なんか攻殻機動隊笑い男みたいです。
命の炎が燃え尽きそうになったV様は、「人間花火」という電撃ネットワークも真っ青な一発芸を披露して、見事六本木ヒルズを爆破しました。V様は夜空の花火となって、人々の心に残り続けたのでした。おしまい。


…つまりですね、キングコングもそうなんですが、最近の喪男映画は「鬼畜大活躍→ヒロインと会って萌えを知る→鬼畜道から救われそうになるけど、やっぱり最後はDQNをぶっ殺しにいく→萌えキャラは救ったが、結局鬼畜喪男は死んでしまうのであった。完」という流れが流行なんですな。
これは、「一度鬼畜に堕ちた喪男は、最後はイケメンを殺して自分も死ぬしかない」ということを示しているんです。単にそうなったらイイナっつう願望かもしれませんが。
V様みたく、鬼畜の道に落ちてぱっと一花咲かせて死ぬか、バッファロー’66みたく、萌えて隠花植物のごとき人生を歩むか、映画において喪男の道は、大きく二つが示されております。
「40歳の童貞」がもうひとつのルート「負け犬女とくっつく」というものを提示しているそうですが、はてさて、これからの世界の喪男映画の行き先は、これらのうちのどれに向かうのか、あるいは全く新しい第四の道が開けるのか、これからも喪映画から眼が離せません。

*1:町山さんがインタビュアーなので映画秘宝でもみれます