すげこまくん

読解のほうで色々補足とか文章の訂正とか、したいけれどもやる気力と暇が無い。腐ってやがる、早すぎたんだ。
というわけで今回は、しろはた読者なら「サルまん」とならんで抑えておくべき漫画のひとつ、GOD SAVE THEすげこまくん の紹介です。

ってはまぞうのプレビュー画像がないじゃん。もう絶版だからしかたないのだろうか…('A`)


さて、まあどうせここ見るような人間の大半はすでにご存知ではあると思うのですが、「すげこまくん」は91年から98年頃まで、雑誌媒体が変わりつつも、主にヤングマガジン誌上で連載された長寿漫画でした。
登場人物は、主に主人公のすげー困った高校生、すげこまくん(苗字不明・あるいは菅駒が苗字?)と、すげこまくんのクラスの担任の松沢まみ子先生の二人を中心に展開して行きます。
ストーリーは基本的にあって無きが如しなのですが、毎回毎回、すげこまくんは松沢先生に対しストーキング行為とかSMチックな行動をとったりします。でも最後は同級生の藤江田純子さんに突っ込まれたりして終わります。なんかこうして書くとちょっと普通から外れただけのラブコメのように見えなくも無いですね(そうか?)。
具体的にすげこま君がどのようなアレな行動に走るかという実例をあげますと、「カエル二百匹を詰め込んだおとし穴に落とす」「公衆の面前で触手系の怪獣に襲わせる」など、陵辱鬼畜系なことなどをやったりするのですが、根本的には松沢先生のことが好きで、本当は先生と手を繋いだり、一緒にご飯を食べたり、デートとかしたい、というかなり健全な欲望が根底にあるのですね。
しかしすげこま君は根が喪男なので、そんなことをしたいとでも言った日には「きんもーっ☆」といわれるだろう、と考えているのですね。実際松沢先生はそんなこと微塵も考えていないのですが(というかすげこま君のことは、ただのすげー困った生徒としてしか見てない)。このように、鬼畜なことをしょっちゅうやってしまうすげこま君ですが、別にセックスしたりすることがすげこま君の最終目標ではないのです。松沢先生とイチャイチャしたい。ふつうの恋人のようにありたい。いや、いっそのこと結婚したりしたい。そのため、松沢先生を好き勝手に出来るシチュエーションにあっても、「結局アレがしたいだけなんだろ?なんだかんだ言っても結局はアレ…だったらさっさとやっちまえよ」「ちがう!そんなんじゃない!」「じゃあなんだ?お前は松沢先生と…」「そ、それは松沢が生意気だからちょっとシメてやろうと」とかなんとか、脳内で自問自答するはめになるのです。ありがちですね。これはすげこま君の自意識過剰といえばそうなのですが、その自意識が裏返ってすげこま君にぶっ飛んだ行動をさせ続けるのです。
すげこま君に限らず、永野のりこ作品は基本的に、孤独感と自意識過剰に苛まれる人々がモチーフになってますね。しかも「妄想こそが現実なんだ!人は妄想で救われて良いんだ!」ということも根底に通じてたりします。これらは電波オデッセイというすげこま君の次回作ではより顕著に現れています。さらに特筆すべきは、しろはたのSS「電波少女」のタイトルの元ネタは電波オデッセイからきているものです、確か。しろはたのどっかにそんなことが書いてあったような…現在電波男で言ってるようなことと、かなりつながっているのですね。ちょっと時代を先取りしすぎたせいでマイナー扱いされてますが、ネットの発達した現代に連載されていれば…っていうかむしろ復刻すれば売れるとおもうんですがねえ。
さて、そんなキモメン喪男にありがちな心情に対し、どこまでも萌えの視線を送る永野のりこ先生の手にかかるとあら不思議。その辺のどこにでも居るキモメン喪男が、あっという間に極上のツンデレ眼鏡っ漢(めがねっこ)になるのです。
そう!実はすげこま君とは女性視点で描かれた最強のツンデレなのです。男性読者は基本的にすげこま君に感情移入しながら読み進めるので、「女神的存在によって癒される喪男」といった感じの構図で捉えがちなのですが、一歩引いて神の視点で眺めると、「良いやつなんだけど鈍感な主人公と、それに惚れてるけれど素直になれないツンデレヒロイン」という、エロゲーにありがちな構図と完全に一致しているのですね。ただヒーローとヒロインが逆転しているわけなのですが。
こうしてみると、女の子に対する萌えの一つの極北がツンデレだとすると、ツンデレ電波祭りで本田さんが提唱してた(でっち上げてた)「喪え」というものの最終形もツンデレ喪男になるのではと…でもそんなん昔からいたよなあ。いやいや、喪の気質が入ってるところがミソなのだきっと。しかしこれってむしろ「俺萌え」になるのか?そうかも知れない。
なんにしてもすげこまくんで一番萌えるのは松沢先生でもM1号でもミナヨちゃんでもなくて、すげこま君本人なんだよ!と言いたいだけなんですがね。どうしてこんな無駄に文章が長くなるのか。いやあ、文章打つ前にはちゃんとプロット組み立てないといけませんねホント。
そういや最近話題のlittle nonとかいうバンドのヴォーカルは確か永野先生の娘さんなんですよね。「ちいさなのんちゃん」の。バンドも人気なようですし、この機に乗じてほんと復刻してくんないですかねー('A`)。もしくは新作。でも先生はもう引退したようなもんなのかな?
さて最後に、ネタばれ必死の名台詞を。

「誰が『仲間外れのすげこまくん』だっ!勘違いも甚だしいぞ松沢っ!いいかぁ!?僕の場合はゆーなれば…『仲間外し』だっ!そう!『全世界』をカスとみなし、こっちからエンガチョしてやる『仲間外し』!!誰が仲間なもんかっ!憎き全世界めっ!いつか壊滅させてやるっ!」
(すげこまくん 「GOD SAVE THEすげこまくん(6)」永野のりこ著)

「なんでヨシオおにいさんてば自分のことさ、『ゴミ』とか『捨てられる』とかゆーの?誰の『モノ』でもないのに。んだから誰にも捨てらんないしィ、『いらねーゴミ』とか誰かに言われたってさ、『オメーの』じゃねーやバーカッ!って思えばいーじゃんっ…『しあわせになって』『あいしてる』…なーんちゃって!!こんな『うそっこ人間』に言われたって「不毛」〜〜〜〜ってか?…でもさ、ヨシオおにいさんがさ、ごはんいっぱい食べて元気になったり、がんばってお仕事できるようにようになったこととかは、『ホント』のことでしょ?…でしょ?…ねぇ…ねぇ…ヨシオおにいさんがヤケになってこんな、ホントにあったいいことまでフイにしちゃったらえむ子、結局何の役にも立たなかった…ホントのゴミくずになっちゃうよ。『しあわせになれ』『しあわせになろう』『あいしてる』『あいしてる』『あいしてる』覚えた?自分で自分にそう言って。ヨシオ兄さんが言うんだったらソレは、もう うそっこでも不毛でも、な…
(M1号 「GOD SAVE THEすげこまくん(11)」永野のりこ著)